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何もない真っ暗な空間の片隅に、一箇所だけスポットライトを浴びたように明るい空間が浮かび上がり、その中に一人の女の姿が現れる。
先のパリ市街での貴金属盗難事件の折、FPPGとSPPGの連携による活躍で盗んだ宝石類を奪い返されたセデューサが、何かに怯えているような険しい表情で明かりの中に立っていた。
顔色は血色を失い、青ざめた表情には無数の冷や汗が張り付いている。
そして、低く重いエコーのかかった、女の声色がかった男の声が空間全体に響き渡る。その瞬間、項垂れていたセデューサの頭がバネ仕掛けのように跳ね上がる。
全身を震えが走り、瞼に涙があふれ、先の強欲で傲慢な雰囲気は失われ、今の彼女を包む雰囲気はまるでガラス細工のような脆さであった。声:「セデュ〜サ〜?」
セデューサ:「…ひっ!」
その一言で、セデューサの緊張が砕け散り、その場に崩れ落ちた。
声:「…あーた、あたしの言った事、まさか忘れた訳じゃないでしょうねえ?」
セデューサ:「まさか…い、いえ!…そのような事は!」
溜まった涙が床に滴り落ち、全身に纏わりついた恐怖で震えは止まり様がない。
声:「そうよねえ〜…その様子じゃあねえ?」
セデューサ:「…は…はい…」
声:「あっそう?〜じゃあ、あたしがあーたに命令した事、言ってごらんなさい?」
セデューサ:「…はい…マスターの御命令は…」
恐怖で重くなった口を必死に動かし、答えるセデューサ。
声:「〜で、その餓鬼共に一杯食わされて、取り返されたって事ね?」
セデューサ:「…はい…も、申し訳ございません!!〜わ…私が油断…いえ!無能なばかりに…折角の御期待に添えず…」
頭を床にこすりつけて土下座し、繰り返し平伏し、必死に許しを乞うセデューサ。それに対し、男の声は何事も関心がないかの如く平静なままだ。
声:「〜あたしは別に宝石とか金とかかっぱらって来られても興味は無いのよ。そんなものあたしの野望が成就したならいくらでも手に入るし。欲しいならあーたにボーナスとしてそっくり呉れてやってもかまやしないワ。ただし…あたしの欲しい物、きちんと持って来てくれるならの話、だけど?」
セデューサ:「…はい…こ、今度こそ必ず…」
姿の見えない声の主に対し、懸命に自身をアピールするセデューサ。
そして目の前に、以前に彼女が盗み出し持参した、三つの遺物の映像が現れる。
声:「〜まあいいわ…あたしの欲しい品物の内きちんと三つまで揃えてくれた事もあるし、今回は大目に見てあげるワ…」
ようやく許しを得られた事を恐る恐る確認し、ほんの少しだけ恐怖から開放されるセデューサ。すかさず、声の主が彼女の安心に釘を刺す。
声:「〜た〜だ〜し!次は、無いかもよ〜?」
セデューサ:「…はい…あ…有難う御座います!」
男の声が言った事を、セデューサは瞬時に理解していた。今度の指令に失敗すれば、命は無い、という事を。
男の声は表向きはあくまでおどけているように聞こえるが、その声を聞く者には圧倒的な威圧感と恐怖を無意識に与え続けているのだ。声:「〜万が一って事もあるけど、あたしが探してる物、コピーPPGだけじゃなくて他の奴等に勘付かれるのも時間の問題だし。手際よく持って来て頂戴ね?」
セデューサ:「…は!」
声の主より指令を与えられ、起立し深深と頭を垂れて忠節と服従を示すセデューサ。声の主の気配が消えると同時に、彼女自身も闇の中へと消え去っていった。
彼女が闇の中へと消えてゆくのと入れ替わりに、別の影がゆっくりと現れる。そのシルエットは大柄で、筋骨逞しい男性のように見える。
かろうじて闇の中から見え隠れする仮面の中から見える視線は、あくまで冷静かつ不敵な輝きを放っていた。筋肉男:「〜あの女、多分…次は無いだろうと察するが、そなたは如何になさる所存か?」
声:「〜さ〜ねえ?…その時はその時。その為に、あーたが居るんじゃなくて?」
筋肉男:「…ま、もうしばらくは休ませてもらう。用件が出来たその時改めて伺おうぞ」
仮面の奥の口元が、僅かに皮肉めいた薄笑いを浮かべる。と同時に、男は闇へと消えていった。
タウンズビルにてJPPGがグラインダーと激戦を繰り広げていた頃、ミハエルはとある出版社宛に送ったメールの返信を受け取っていた。
外国で出版しているオカルト雑誌の編集部宛に、マーシュが調査した遺物の情報を調べてくれるよう依頼していたのだった。
返信は随分待たされた上に、内容としてはあまりにそっけないものであったが、遺物に関して心当たりのある人物を一人、紹介してくれていた。
依頼の内容が内容なだけに、半ば駄目元でメールを送ったミハエルは、早速その人物にコンタクトを試みた。ただし、連絡が簡単に取れる相手ではないらしく、困り果てた彼は結局、相手の連絡を待つ事にした。一方、同じくマーシュが遺物の調査を依頼したジーンはイギリスに不在で、マサトシのサポートの為にタウンズビルにいたので、連絡には時間がかかっていた。
数日が過ぎたある日、ミハエルの自宅に待ちに待った返信が届いた。
紹介された人物は、イスラエル出身の考古学者だった。よほど人の気配を嫌っているのか、住所と呼ばれる場所はレバノンの片田舎である。にもかかわらず連絡が取れたのは、やはり国際的なネット環境の普及の恩恵と言わざるを得ないだろう。
考古学者がひっそりと開設しているホームページは英文での記載だったので、英語による対話が可能であろうと考えたミハエルは、自分のパソコンに繋いでいる同時翻訳機を持参して、考古学者の自宅に向かう事にした。現実的問題としては、たかが一介の小学生がモスクワ郊外から中東の片田舎へ向かう事など無謀であると思われがちだが、幸いにも彼が生み出したRPPGのバレルのスーパーパワーの応用により、一瞬にして移動が可能である事が判明しており(分析はジーンの談による)、正確な到着地点の把握が出来ていればさほどの問題は無かった。
ビロウ:「〜あのさあ、これから会う考古学者って、どんな奴なんだ?」
ミハエル:「さあねえ…正確には、その元助手に会ってから、問題の考古学者を紹介してもらうんだけど、俺達みたいな小学生にまともに取り合うんだから、相当に暇なのかな?」
バレル:「そんな事言ったら失礼だよ…折角会ってくれるんだから、きちんと礼儀正しくしなくちゃ…」
ブラー:「そう言えば、調べてもらう物って、あたし達見たこと無かったけど、どんなの?」
バレル:「あたし、ちょっとだけ見たけど、さっぱりわかんない」
ビロウ:「俺達みたいな素人には分かんないから、調べてもらうんじゃないの!ホラとっととスペースブリッジ開いてよバレル!」
バレル:「開くけど…目指してる場所に行けるって期待しないでね…」
ミハエル:「その心配を克服するために出来るだけの荷物をここに用意しているんじゃないか。後はやってみなくちゃ分かんないだろ?」
ビロウ:「しょうがないなあ…後は当たって砕けろ、か」
バレル:「〜それじゃ、ゲート開くよ?」
バレルが合図をし、自宅前のある地面に向かって念を込めるや、その場の空間が湯気のようにゆらめき始め、空間がゆがみ、異次元空間への扉が開く。そこにビロウを先頭にしてミハエル、ブラー、最後にバレルが中へと入ってゆく。ほどなく歪んだ空間が元通りになり、再び静寂の情景がよみがえる。
そして、肌寒いモスクワ郊外から乾燥したレバノンの片田舎へと一気に空間を飛び越えたRPPG4人は、荒涼とした風景の真っ只中に放り出された。異空間を通り抜けてきた4人の目に最初に飛び込んできたのは、岩肌が剥き出しの乾いた大地が広がる世界だった。
一瞬、脳裏に不安がよぎるバレルとブラーだったが、ミハエルはそんな光景に臆する事無く、特殊なナビゲーターを取り付けたノートパソコンを取り出した。衛星からの情報を受信して、自分達の位置を確認しているのだ。
一方、荒涼とした殺風景を目の前にしたビロウは他の姉妹二人に反して、意気揚揚としていた。まるでこれから降りかかるかもしれないトラブルを待ち望んでいるかのようにも見えた。
しばらくして、ノートパソコンを操作していたミハエルが、ようやく現在位置を把握したようだった。
4人が現れた場所は、最初に会う予定の考古学者の助手との待ち合わせの場所である村から、ほぼ南南西に50キロ程離れた場所であった。幸い、日もまだ高く目立った気象の乱れも無いことから、4人は大して苦労することなく、目的地の村にたどり着く事が出来た。
どうやら、その村はユダヤ系の住民が多く暮らしている様であったが、ニュース番組等で放送されているような宗教的イザコザは表面的には見られないようで、アラブ系の住人もユダヤ系の住人も昔からの親しい友人みたいである様だった。
早速、会話に必要最低限の翻訳した紙と助手の顔写真を手に、村人に尋ねまわる4人。
彼等が子供であった事や珍しい外来者であった事も手伝って、たちまち4人の周囲に人だかりが出来上がった。そんな中、流暢な英語を話す一人のユダヤ系の紳士がミハエルの前に名乗り出た。
その男こそ、4人の探していた助手らしかった。写真と目の前の人物の顔を照らし合わせて、ようやく4人の顔に安堵の表情が現れた。男:「〜君がメールを送ってくれたミハエル君だね?」
ミハエル:「はい」
男:「遠くロシアからようこそ。私がノエル・メシャールです」
ブラー:「ミハエルが会いたい、考古学者の助手だよね?」
メシャール:「ええそうです…ああ、君達が噂に聞く、スーパー幼稚園児ですね?」
バレル:「そうで〜す!」
ビロウ:「はしゃぐなって!〜で問題のあんたの上司、どこ?」
ミハエル:「〜あのなあもちっと大人しくしてろって…」
メシャール:「〜まあまあ、慌てなくても大丈夫ですよ。車を用意してますから、博士のいる発掘現場まで案内しますよ」
ミハエル達が出会ったこの紳士は、少々頼りない感じがあるものの、割と面倒見のよさそうな好感度のいい人物に見えた。痩せ型で中背のメシャールの後ろを4人がついて行くと、大きめの4輪駆動車が駐車してある空き地に着いた。
メシャール:「これに乗って発掘現場に向かいます。何たってここから40キロも離れてるので、車が無いととてもじゃないけど不便なんだ」
ブラー:「あら、あたし達につかまって行けばあっという間に行けるじゃないの?」
ミハエル:「行く先、分かんないだろ?」
バレル:「あ…そっか」
ビロウ:「〜そういう事」
ミハエル:「…そう言えば、メシャールさん達は何の発掘をしてるんですか?ええっと…」
メシャール:「古代都市ウガリトの流れを組むカナンの遺跡だよ。古くはシュメール文明から発達した都市の一部で、すでに発掘され尽くしたと公式には発表しているんだけどね」
バレル:「砂漠にある遺跡だから、ピラミッドとかそんなのだと思ったわ」
メシャール:「ははは…砂漠だからって古代エジプトじゃないんだな。まあ…あっちの方がメジャーなのは認めるけど、以外にエジプト以外の遺跡を調べる事で、エジプトの歴史が新しく発見される事だってあるんだよ」
ビロウ:「〜よく、わかんない」
ブラー:「それで、今日も発掘、してるの?」
メシャール:「今日は休みの日なんで、君達を迎えに行く事が出来たんだ。博士も休みをとっているので、会うにはちょうどいいだろ?」
ミハエル:「それにしても、俺達に会って呉れるなんて思ってもみませんでしたよ。こっちに来るまでは半信半疑だったし…」
メシャール:「私も、君達がメールに添付した写真を見るまでは、ただの冷やかしかと思っていたよ。偶然、博士が写真を見かけて、博士から面会を申し出たんだ。普段の博士は余り表に出たがらない人だから、君達は運がいいな」
運転席の横でメシャールと雑談を交わすミハエル。運転中のメシャールは久々の来客に少々御機嫌な様子だ。後ろの座席ではRPPG3人が思い思いに雑談に割り込んだり、殺風景な外の風景を眺めたり、転寝に興じていたりしていた。
車の後ろをぼーっと眺めていたバレルが、遠い後方の道にうっすらとした影のようなものを見た。しかし砂埃に陽炎がゆらめく砂漠の道は一瞬にしてその影を消し去ってしまい、バレルもただの気のせいと思い込み元の席に戻ってしまった。車が去った後の砂埃の中から、黒い影が現れる。
「彼」の指令により、ある遺物の探索を続けていたDPGの3人だ。
3人とも協調性に欠ける性格なので、表向きは「彼」の指令に従ってはいたが、正確な指令の意図は知らされていなかったので、3人はとりあえず、自分達が回収する遺物が何なのか正しく知る為にも、「彼」の指令に忠実に実行していたのだ。
表向き指令に従うようビーズトとビザールを懐柔したのはバーベキューだった。
彼女も彼女なりに野望をめぐらし、二人の仲間と「彼」を出し抜く腹であったが、まずは遺物の正体を探るべく二人に協力を提案した。
「彼」の腹の内を知らないのは彼女も二人も同じだったので、比較的素直に彼女の申し出は二人に受け入れられた。ビザール:「〜んで、これからどーすんのさ?」
バーベキュー:「奴等が本当に、我等の探しているものを持っているのか確かめる。かっぱらうのはそれからでも遅くない」
ビースト:「かっぱらった後の事は考えているのか?」
バーベキュー:「…「彼」が何の目的でアレを集めているのか、それも含めてあいつらに調べてもらう。「彼」が何を企んでいるのかが分かれば、我等にも太刀打ち出来る手段が見つかるかもしれないからな」
ビザール:「じれったいなあ…あたいはそういう退屈なの大嫌いよ!」
ビースト:「だが「彼」はもっと嫌いだろ?ちったあそのヒステリー、自分で何とかしろよ」
ビザール:「何ですって!」
自分の悪癖をからかわれたビザールが激昂するが、すぐにバーベキューが割って入る。
バーベキュー:「落ち着けビザール!奴等に気付かれない程度なら、適当に他の所で憂さを晴らすのもいいだろう…今は奴等を泳がせておく。御前も調子に乗り過ぎだビースト!」
ビザール:「〜ふん!退屈なのはあんたに任せておくわ、バーベキュー」
消化不良気味の膨れっ面のビザールだが、その場の怒りを飲み込んでその場から文字通り、姿を消した。
ビザール:「…用が出来たら適当に呼んでね」
去り際にこの言葉を残して。
ビースト:「〜けっ…餓鬼だな!」
バーベキュー:「貴様は退屈ではないのか?」
ビースト:「手前は抜け目がないからな…目を離した隙に出し抜かれたらたまったもんじゃない。しばらくは付き合ってやるよ、手前の御遊戯によ」
皮肉たっぷりの口調でビーストがこの言葉を吐き捨てるが、バーベキューは気にも留めない様子だ。
彼女の脳裏には、自分の野望に基づいた濃密な計画が常に渦を巻いていた。
不毛な大地と石ころばかりの荒野を疾走する自動車の前に、ひっそりとした遺跡らしいものが現れる。
素人には四角い岩ばかりが野放図に放置されているように見えるこの場所こそ、メシャールと例の博士が独自に発掘作業を継続している遺跡であった。
テレビドキュメンタリーや図鑑で見た、エジプトやインド、南アメリカの巨大な遺跡しか知らないRPPGにとっては、余りに期待と現実のギャップが激しかったらしく、目に見えてがっかりした様子だったが、ミハエルにはそんな事は眼中になかった。
外を見回すと、仮設の倉庫の傍らに小柄な老人の姿が見えた。白い髪と髭をかなり長く伸ばしており、片手に小さなパイプを握り、背格好は小柄なメシャールよりさらに小さく見える。老人:「〜ほう?」
車が発掘現場近くの空き地に停車し、5人が外に出ると、老人が物珍しそうに迎える。
メシャール:「〜博士、御連れしました」
老人:「君が手紙を呉れた…ミハエル君かね?私が現場責任者のハーゲンじゃよ」
ミハエル:「初めまして…ユリウス・フォン・ハーゲン博士、ですね?ミハエル・グルジノフスキーです」
メシャール:「それから、この3人は…」
RPPG:「ラジアント・パワーパフガールズで〜す!」
ハーゲン博士:「…なるほど。君達があの有名な…」
バレル:「あたし達って、そんなに有名なの?」
3人が思わす身を乗り出す。そして、
ハーゲン博士:「…PPGのコピーかね?」
3人がずっこけた。
ビロウ:「〜ちぇっ!期待して損したぜ」
メシャール:「〜まあまあ、博士がPPGの事を知っているだけでも、物凄く珍しい事なんで、余り起こらないで下さいね」
ミハエル:「〜と言いますと?」
メシャール:「発掘作業がひと段落した所に、ラジオでタウンズビル発の世界征服宣言が聞こえてきたもので、ちょうど博士も聞き入っていたんですよ」
ハーゲン博士:「〜その通りじゃメシャール君。普段は発掘と研究一筋の生活なので、世の中の事など全く眼中に無いので、御蔭で世の中からすっかり忘れ去られたもんじゃが…知りたいと望む者には邪険にはせんよ」
ブラー:「博士ってえ、そんなにマイナーなの?」
慌ててブラーの口を塞ぐミハエルだが、博士は全く気にしない様子だ。
ハーゲン博士:「はははは…確かにその通り。ワシはただ、知りたい興味の事に対して熱心に研究しているだけじゃよ。ただ、研究しているのが周りにはどうでもいい事なだけの話じゃ」
ミハエル:「〜ですが、」
ミハエルの口調が少し、緊張気味になる。
ミハエル:「…その事で、メールにも書きましたけど、少し気になる事があるんですが…」
そこに、絶妙なタイミングでメシャールが割って入る。
メシャール:「〜ますはここでは何なんですから、事務所に行きましょう。ここは少し埃っぽいから」
ハーゲン博士:「〜その通りじゃメシャール君!折角の客人だし少し盛大にもてなそうではないか!」
バレル:「あはは…ラッキー!」
ビロウ:「遊びに来たんじゃないってーの!ほらさっさと行くよ!」
バレルの頬をつねって引っ張ってゆくビロウ。一方のブラーは、何故か空を見上げていた。
ミハエル:「〜どうしたブラー?」
ブラー:「…空が、荒れる…」
意味深気な言葉を語るブラーに、ハーゲン博士が答える。
ハーゲン博士:「ああ…この地方は空気が乾いていて、時折砂嵐も起こるからのう…今夜は外に出歩かないのが正解かもな」
しかし、彼女の不安は、別のもっと直感的なものであった。それが何を意味するのかは、ブラー本人でさえ知る由も無かった。
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